B展足
 現地で〆て、持ち帰った成虫は、〆具合にもよりますが、硬直している場合があります。
 そのような時は、乾燥させ過ぎないようにプリンカップ等に入れて、柔らかくなるのを待ちます。
 1〜2日もすると柔らかくなります。
 〆が甘い場合、蘇生して歩き出すようなこともありますが、その場合、もう一度毒瓶に入れることになります。
 特に厳冬期の採集時に、そのような傾向が強いように感じます。

 私は、展足には、スチロール樹脂製の小型プラ角型ケース(35mm×65mm×17mm)を使用しています。
 脱脂綿を紙で包んだ紙タトウや、プラ製のMOケースを使う方法もよく耳にしますが、この小型プラケースを使用する方法は、展足状態を常に確認出来る上、上蓋での加圧加減を調整し易いことが気に入っています。
 プラケース内には適当なサイズにカットしたカット綿を厚みを調整して敷いてあります。
 このケース1個で5〜6頭のルリクワガタ属成虫を展足することが出来ます。

 柔らかくなった個体をカット綿の上に並べます。
 この時、ピンセットを使って、
 @大顎を開く
 A触覚を出す
 B脚の方向を整える(特に前脚を体と水平になるように前方向に起こすことが重要)
 C後翅(羽)が前翅からはみ出している時は、折りたたんで収納する(必要に応じてカット)
 D交接器が出ているときは体内に押し込む(交接器を保管するときは取り出す)

などの作業をします。


仮展足直後

 その後、数日かけて、硬化の進行に合わせて少しずつ形を整えて行きます。
 触覚と脚を90度に曲げ、フ節は真っ直ぐ伸ばすことを意識します。
 また、左右を対称にし、水平方向の傾きも統一すると綺麗な標本になるようです(なかなか満足出来る形には決まりませんが…)。


数日後、こうしてみるとまだまだ補正の必要な箇所が多数あります。

 私は現在、\700〜\800程度のステンレス製ピンセットを2本使っています。
 ベテランの方は数千円する精密ピンセットを使われているようですが、まだまだそのレベルには到達していません。

 ルリクワガタ属は小さいので、一気に乾燥が進むため、最初の4〜5日で形をほぼ整えるように心がけています。

 もし、望むような形に決まる前に硬化してしまった場合、無理に動かそうとせず、後述の軟化を行ってから、再度調整することが大切です。
 万が一(?)、破損してしまった場合には、木工用ボンドや瞬間接着剤で補修することも可能とのことですが、手先が器用ではない私は、ほとんどの場合諦めています。

@殺虫 A保管 B展足 C乾燥 D軟化 E脱脂 Fマウント

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