●その他の殺虫法
これまでルリクワガタ属成虫を〆るために確かめてみたその他の殺虫法を紹介します。
a)亜硫酸ガス
二亜硫酸ナトリウム Na2S2O5 と クエン酸 HOOC-CH2C(OH)(COOH)−CH2COOH
の化学反応で亜硫酸ガスを発生させ、そのガスで殺虫します。
それぞれの粉末を小さじ一杯程度、ティッシュの上に置き、スプーンでよく混ぜ合わせた後、ティッシュでその粉末をくるんで、ティッシュごと容器に入れます。
容器としては細口の300mlペットボトルが便利なようです。
化学反応の開始には水が必要ですが、水を注ぐと一気に反応が終息してしまいます。
私は、最初は呼気を何度か注ぎ込むようにしています。
最初、ガスの発生は緩やかですが、虫を入れると虫からも水分が供給されるため、安定的に亜硫酸ガスが発生するようになります。
この時、間違っても亜硫酸ガスの臭いは嗅がない方が良いです。
カミキリムシには、酢酸エチルを使うと黒っぽくなってしまう種類が多く、この亜硫酸ガス殺虫を行うことで、生前の色を残すことが可能なケースが多いとのことですが、ルリクワガタ属の殺虫に亜硫酸ガスを使うのが良いか、微妙な感じです。
理由として、
@取り扱いが難しい(ガスの発生状況の管理が大変)
A〆た個体に変な癖が現れるケースが多く、展足が大変になる。
B脚の黄色味は鮮明に残るが、体色の保持という点でメリットは感じられない。
などが挙げられます。
一言で言うと、亜硫酸ガスは、「ルリクワガタ属の殺虫という点では、管理が大変な割りに、メリットが少ない」と思いました。
左:酢酸エチル殺虫、右:亜硫酸ガス殺虫
(いずれも殺虫して1日後)
b)エタノール
入手が容易なので、当初使っていましたが、殺虫効果が弱く、溶媒の量を増やして、晒す時間を長くせざるを得ませんでした。
結果、毒瓶の中での虫同士の傷付け合いが発生する確率が高くなり、溶媒との接触で生じる黒っぽさも出てしまう気がします。
また防腐効果も酢エチより弱いようです。
c)冷凍〆
冷凍庫に入れると直ぐに殺虫出来ます。
しかしながら、防腐効果が全くないので、展足中に一気に腐敗が進み、悪臭を放つと共に脚が黒っぽくなってしまいました。
また硬直によって変な癖が付いてしまい、展足はかなり大変でした。