2011.6.11
 単独、新潟県→群馬県でコルリ狙いの新芽採集にチャレンジ!
 天気が悪いのを覚悟した採集行。6ポイントを回り、新芽でコルリ34♂+9♀、材起こしでコルリ2♂+1♀をゲット!!

 2011年のコルリ新芽採集…、高所の芽吹きは一気に進み、チャレンジ出来るのはあと僅かになってしまいました…。
 6月2回目の週末、天気予報はイマイチ…。
 それでも晴れ間が出るタイミングもあるとのことで、あの高層湿原登山を最優先に考えて出動することに決め、前夜早くに就寝…。

 気合は引き続き十分で、起床は1:00過ぎ。
 Webチェックをすると、天気予報は激変していました。
 高層湿原の空模様、朝の内は雨で午後から晴れてくるとか。
 しかも土曜日より日曜日の方が天気は良さそう…。
 パソコンのモニターを見ながら、悩む悩む…。

 アルコールを入れてもう一度寝ることも考えましたが、高めてしまったテンションは簡単には収まりそうもない(笑)。
 この春のコルリ、数よりその「ゲニチェック」の新プロット追加を目指してきました。
 金曜日には晴れ間が広がっていたので、居残り個体を狙えるはず!
 一方で本命の高層湿原、今回は素直に諦めることにしました。
 先週実現出来なかった、コルリ採集のプロットを一つでも多く刻む!
 雨カッパをしっかり手入れし、そのまま1:41、自宅発となりました。

 自宅近くから国境のトンネルを越えるまでずっと雨…。
 やはりまとまった雨雲が迫っています。


第1ポイント
 2011年初チャレンジ、ただし「ゲニチェック」は昨年完了しているので、さっと新芽に潜るコルリを摘まんで次のポイントに移動するイメージで向かいました。
 ボーズが無ければとりあえず安心です(笑)。
 ポイント着は4:11。
 直前まで連続ワイパー必須のまとまった雨が降っていたのに、ピタッと止みました!

 標高調整が出来るポイントなので、恐らくコルリゲットは余裕と思っていましたが、まさかの芽吹きの進行…。
 あと数日遅かったらボーズもありそうな状況でした。


 4:20、最も標高が高いエリアにあったブナ新芽でコルリペアをゲット!
 見えるものです。
 日の出は4:25ですが、曇より空の下、かなり薄暗い状況でした。

 このポイント最後と思われるコルリ新芽採集可能エリア。
 結局5:06まで粘って、コルリ15♂+7♀をゲットすることが出来ました!
 全て、昨日以前の潜り込み個体に間違いないです。  


第2ポイント
 山菜採集の規制(?)が6:00前からかかっていて、ゲートの手前でおじいちゃんに停められました。
 結局、昆虫採集で行ける所まで行きたいと申し入れ、登山カードに記入した上で、入れていただくことが出来ました。
 そう言えば、昨年、自身初プロットを刻んだ時には、「観光」と言うだけで入れたような…。
 一部の山菜は大好きですが、規制されている地で採るようなことはしないつもりです。

 第1ポイントでは止んでいた雨、かなりまとまって降りだしました…。
 仕方なく、雨カッパを羽織って、新芽をチェック。
 
 トネリコ新芽でコルリ1♂をゲット!!

 B4は横付けの楽々採集。
 ただ、雨の影響で網がいつも以上に重くなり、しかも繰り出し竿も思うように出し入れが出来ない状態になりました…。

 それでも、トータル、(新芽に潜る)コルリ2♂+2♀をゲット!!
 2011年ラベルとして大切に管理します!


第3ポイント
 ある意味今日の本命!
 この登山道を進んだピークは、私にとって雪国の山に傾注してしまったきっかけとなった山!
 今日はその山頂ではなく、その中腹で採集実績が報告されているコルリの新芽採集がターゲットとなります。
 自身、まだコルリのプロットを刻めていない山…。
 昨日、晴れていた時間が長かったので、第1、第2ポイントと同様に、新芽潜り込み個体がいるはず。
 ゲットしてそのゲニをチェックしたい!

 引き続き小雨模様の登山開始は6:59。

 標高を上げて行っても葉っぱだらけ…。
 先週がベストだった印象…。



 標高を上げると芽吹きの遅れたブナ、ミズナラ、トネリコの新芽が出てきてチェックするものの全く駄目…。
 目安にしていた第1のピーク着は8:03。
 雨で身体が冷やされたのか?、ここまで標準登山時間2時間のところ、ほぼ半分!

 今日は、コルリが新芽で採れていれば、山頂は諦めてこのピークでUターンするつもりでした。
 しかし、コルリが採れるイメージは限りなくゼロ…。
 時間も早いし、このまま山頂に行ってしまおう!!
 今週も、「山頂を極めたい」自分に負けてしまいました。
 ガスっていて遠望ゼロなのは確実なのに…。

 ガスの切れ間にルートが見えましたが、基本、視界は30m位でした…。



 標高差は丁度1000m。
 山頂到達に要した時間は、登山口から1時間51分。
 結構良いペースで登ったつもりだったのに、自身の最高速を10分もオーバーしていました…。
 前半の標準登山時間ほぼ半減はなんだったのか?(笑)



 下山では、網をセットし、良い感じの新芽をひたすらスィ−ピングしてみました!
 しかし、何も入らず…。
 ここのコルリの新芽採集、来年以降、ベストなタイミングで再チャレンジです。

 ということで、網をリュックにしまい、材起こし採集にチャレンジしながら下山することにしました!
 材起こし採集…、コルリが好んで産卵するような落ち枝を静かに裏返して観察するだけの採集…。
 ポイントによっては、材採集より効率よくコルリ成虫をゲットすることが可能な印象です。
 一方で、私はあまり好きではない(苦笑)。

 斜面は笹藪主体の為コルリ狙いで入る根性はなし。
 登山道沿いで(・)マーク材を探してみようとするものの、マーク確認どころか適当な材が中々見付からない…。
 
 厳しいかな、と思いつつ、それでも10:07。
 登山道に落ちていた小さな広葉樹木片の裏にコルリ♀!!
 やった!
 

 ただ、コルリ新プロットを刻めましたが、どうしてもコルリ♂が必要です。
 気合で登山道沿いの材を起こし続けた結果、コルリ♂も居た!!
 本命の新芽でなくても、本当にうれしい!

 結局、コルリ1♂+1♀ゲットで、11:08に下山!
 雨は降り続いていました。 



 やっぱり登山をしてしまい、大分時間を使ってしまいましたが、小雨が降り続いていて気温が低く、林床に鬱陶しい虫がほとんど飛ばない条件下で出来るコルリ材起こし採集って、ある意味チャンス??
 正直、苦手過ぎるコルリ狙いの採集法なのは、一生変わらなそうですが…(苦笑)。

 そう言えば、近くにコルリ成虫を狙う場合、新芽では難しそうで、材採集でも相当に気合を入れなければならなそうな興味深い地があった!
 
東京大学の久保田耕平先生によって、(今の所)群馬県で唯一「ユキグニコルリ原名亜種」が確認されていて、しかも本来群馬県のこの地で棲息しているはずの「コルリクワガタ」と「ユキグニコルリクワガタ」が混生しているとされる地です!
 (詳細は「Kohei Kubota et.al, 2011. Entomological Science 14: 198-202」参照)
 低標高のエリアは、コルリの中でも特に貴重なラベルになるので何度かチャレンジしていますが、高標高のエリアではマーク材の確認しかしていませんでした。
 ここのコルリをゲットして、自分の目でどのタイプなのか確認してみたい!


第4ポイント
 国境のトンネルを越えて群馬県へ。

 ここも興味深いエリアに達するには登山が必要です。
 ただ標高差は300m弱。
 気温が低いお陰で身体は余裕!
 材起こしがメインなので、網は持たず。
 手斧も持たず。
 何か変(笑)。


 登山道沿いで(・)マークをチェックするものの、成虫の姿は無し。

 そして本命の標高帯着(国土地理院の地図で正確に確認したら1250mでした)。
 登山道沿いで(・)マーク材を幾つか確認した後、材にその姿は無かったものの、地面の上にあの色!!!
 材起こし採集の場合、ひっくり返した材だけでなく、その材があった地面側に居る個体も居ます。

 第1印象は、青味が少し強く、ツヤツヤ!
 やはり群馬ラベルの「ユキグニ基亜種」??

 12:33下山!
 この季節、笹藪を漕いでコルリ狙いの材探しをする根性の無い自分のレベルでは追加は難しそうでした…(苦笑)。
 雨は上がり、明るくなってきた!




第5ポイント
 興味深いエリアとなる高標高の場所で1頭ながらコルリ♂が採れた!
 久保田先生のような標高帯毎における綿密な調査は出来ないので、一気に標高を下げて「コルリクワガタ」が棲息されているとされるエリアでも材起こし採集にチャレンジすることにしました!
 B4を移動。
 B4を停めた場所に登って来られた2名の方、大慌てで靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、スプレーを足にかけていました。
 「ヤマビル」ですか?
 思わずお聞きすると、「下の方はヤマビルの巣です」と興奮されていました…。
 そう言えば、(幸い吸血はされなかったものの、)数年前、ここで自身初のヤマビルの洗礼を浴びていました…。
 あの時は、より標高の低い沢沿いのエリア。
 沢から離れた斜面なら「奴ら」が登って来ることはないだろうと高をくくっていましたが…。

 今までコルリを一番多くゲット出来た斜面に突入。

 下草が茂っていて、秋や春のこの斜面とは別物。
 それでも、材を起こしてマークのチェックをしていたら(・)マークを多数確認!
 さぁこれからと思って何気に見えた怪しい動きのもの。
 何?
 まぎれも無い「ヤマビル」でした…。
 良く見ると、周辺に大きいのから小さいのまで沢山寄ってきている…。
 (結果、こんな撮影をしている余裕は無かったのですが…)。


クリックするとモザイクを外した画像になります

 採集は当然終了。
 沢から相当離れている場所なのに…。
 斜面を掛け登って、登山道の明るい場所に出て雨カッパのズボンをチェックしたら2匹の奴が這っていた…。
 素手で摘まみ斜面にポイ。
 ヤマビル、頭でも尻でもしっかり掴むことが出来るようで、素手で摘まむと手から中々離れません…。

 B4の駐車場に戻り、雨カッパを脱ぎ、長靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、チェック…。
 雨カッパ(ズボン)に更に1匹、長靴の靴底に1匹、更に長靴の中に1匹入りこんでいた…。
 まじ…。
 ヤマビルに吸血させることで、脳梗塞のリスクが和らぐという話もあるようですが、勘弁…。
 服は全て着替え、来ていた服はジッパー付きポリ袋へ。

 ピンセットで摘まみ取って路面に置いた「奴ら」にはこれを吹きかけました。

 前回の洗練以降、B4に積んでいた「高濃度食塩水」。
 スプレーするとお陀仏になります。
 まさか、今日役立つことになるとは…。



第6ポイント
 ヤマビルの襲撃、今回も吸血はされなかったものの衝撃的でした。
 いつもならこのまま帰るパターンですが、一気に目が覚めた感じか。
 天気も一気に回復したので、材起こしでなく、今年、残された時間は僅かとなったコルリ狙いの新芽採集をしたい。

 群馬県のポイントをカーナビにセットして移動!
 晴れ間が大分増えて来ました!

 気温も上がり期待!!


 駐車スペース着は14:44。

 直ぐに新芽のあるブナの枝を歩くコルリを確認!
 ゲット!!




 そして、前方を歩く緑色のネットを持った方に追いつく。
 コルリ新芽採集で、同好の方に現地でお会いするのは数年振り!!
 嬉しくなってご挨拶!
 あっ、昆虫関連の雑誌で何度も拝見したお姿!
 甲虫界で有名なNさんでした!
 72歳になられて今は細かい虫が見えないとおっしゃりながらも、コルリを続々と追加!
 ご一緒されていたKさんもお名前をお聞きした記憶があります!

 大ベテランなお二人から貴重な貴重な話をお聞きしながら林道を歩く…。
 最高の贅沢!
 コルリ数頭を採ったら林道をUターンするつもりが、大分奥まで歩いてしまいました(笑)。

 朝の雨空が嘘のように晴れて来た!



 結局、ここでは自身コルリ17♂を短時間にゲットすることが出来ました!
 今日は無理と諦めていた活動個体を見られたことも嬉しかったですが、有名なお方に偶然お会い出来たのは本当にラッキーでした!

 
 上り高速はガラガラ。
 18:21自宅着。


 ゲットした5産地のコルリの外見。


第1ポイント(新潟県)産コルリ2♂+1♀


第2ポイント(新潟県)産コルリ2♂+1♀


第6ポイント(群馬県)産コルリ♀


左から第3ポイント(新潟県)産コルリ1♂+1♀、第4ポイント(群馬県)産コルリ1♂

 そして、期待の♂交接器内袋は…。

 第1ポイント産と第2ポイント産は安定して「ユキグニ型」。





 第6ポイント産は安定して「コルリ型」。
 外見は、第1、第2ポイント産と区別出来ませんが、ゲニ形状は劇的に違っています。



 そして、初プロットの第3ポイント(新潟県)産。
 予想通り「ユキグニ型」でした!



 そして、そして、最も気になった第4ポイント(群馬県)産。
 報文通り、「ユキグニ型」でした!!
 もう少し数を追加して再チェックしたいところです! 

 

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