採集記
 (2004年12月29日)

 
 同行者  :鍬匠 甲冑屋さん
 目 的  :東京西部の高所にて高山種クワガタの採集
 結 果  :大雪の中、東京都産 原名ルリ成虫1♂+1♀、幼虫数頭、他をゲット!
      

 今日は、数日前に甲冑屋さんと東京都の高所に「狩り」に行く約束をした日。
 昨日まではしばらく晴天が続いていたのですが、今日に限って関東地方では「初雪」となる可能性が高いとの天気予報。
 自宅を出発した4:00過ぎには降雨・降雪はなかったものの、甲冑屋さんのご自宅が近付くに連れてパラパラと雨が降り出してきました。
 それでも、これまでの甲冑屋さんとの「狩り」は好天に恵まれることが多かったので、ポイントに行けばきっと天気は回復すると信じて、甲冑屋さんのご自宅で車を入れ換え、高所へと向かうことになりました。

 甲冑屋さんは天気のことは全然気にしていなかったとのこと。
 さすがに昨シーズン、ヒメオオ狙いで「単独で」雪山に何度か入られているお方です。


 期待とは裏腹に、標高を上げるに連れて雨が激しくなり、やがてミゾレになり、しまいには本格的な雪となってしまいました。

 当初はポイント近くまで車で進む予定でしたが、狭い道でスリップをし始めたことから、林道を少し入った広場に車を置き、ひたすら歩くことにしました。
 登山開始は9:00過ぎ。
 
 防寒体勢を整えた服装の上に雨カッパを着ると、意外にも寒さが全く気になりません。
 歩き始めるとむしろ暑い位です。
 最初は少し不安のあった雪山でしたが、楽しくなってきました!
 風景もこれまで見たことのない水墨画の世界…。
 この積雪があるから、高山では今の生態系が築かれていているんだろうと思いました。



 6kmほど林道を歩き、一旦深い谷に下りた後、ブナの大木が目に付き出した北側斜面を登り始めました。
 雪は相変わらず降り続いています。


谷部にあった小さな滝(雪が激しく降っています)

 この積雪では地面埋没材を好むトウカイコルリの採集は絶望的(材が見えません)。
 やや太い立ち枯れや空中浮遊倒木を好む原名ルリの採集に絞ることにしました。
 もちろん甲冑屋さんはヒメの入りそうな材のみを探し続けています。

 やがて、空中浮遊倒木の表面を見ると…、複数の(・)を発見!


 この材は空でしたが、同じような空中浮遊倒木から…、


 ついに♀成虫が姿を見せました!
 やや大型の銅色♀です!

 更に削り続けると、次は♂成虫!


 幼虫を採集する前に成虫がペアで採れたのは初めての経験です。
 その後、この材からは幼虫数頭を採集。

 周辺の材でも、原名ルリクワガタと思われる幼虫を追加した後、乾燥した細い枝に多数の(・)を発見!
 乾燥したボソボソの材。ホソツヤルリクワガタではないかと思います!
 成虫を期待しましたが、結局幼虫が2頭採れただけとなりました。




 13:00過ぎには採集を終了。
 甲冑屋さんは結局ヒメオオ材を確認することが出来なかったとのことですが、冬場の高所では早め早めの行動が大事ということを教えて下さいました。
 確かに雪の積もった急斜面を下るのには想像以上に時間がかかります。



 帰りの林道は、様々な話をしながら初雪の高所を楽しむことが出来ました。

 白と黒が中心の初雪の高所、貴重な体験をすることが出来ました。
 甲冑屋さん、色々とありがとうございました。

 


東京産 原名ルリクワガタ・ペア 


 今回の東京産ルリ♀を、先日福島で採集した銅色♀と並べて撮影してみました。
 福島♀が紫〜オレンジ味のかかった銅色という感じなのに対し、今回の東京♀はこげ茶色という感じでした。
黒化型というよりは銅色型の範疇に含まれそうですが、ルリ♀の色の変化、改めて面白いと思いました。
 何とか標本でこの色を残したいものですが…。
 それにしても東京♀の太さ、これまで採集したルリ♀の中で特別なようです。


左:福島産ルリ♀(041212採集)、右:東京産ルリ♀(041229採集)

 (本日の成果)
  東京産
  ルリ成虫:1♂+1♀+幼虫多数
  ホソツヤルリと思われる幼虫:2頭
  オニと思われる幼虫:1頭

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