採集記
 (2004年9月18日)

 
 目 的  :群馬産ヒメオオクワガタのルッキング&ルリ属の採集
 結 果  :ルッキングでヒメオオ1♂、
        材割で羽化直後の原名コルリ&原名ツヤハダ成虫などをゲット!
      

 関東地方の3連休の初日は天気はまずまずとの予報。迷わず朝4:30発で群馬県の高所へと向かいました。
 目的は今年6/27にヒメオオ3♂+1♀を採集したポイントで、果たしてこの時期どのような結果が待っているかの確認。そして、このポイントで採集したことのないルリ属の採集へのチャレンジ。もしかしたら夢の「秋型のルリ属成虫」でも確認できないものかと考えました…。


 出発が早かったため、目だった渋滞も無く目的地には7:00前に到着。
 気温は14℃。
 高所では早くも紅葉が始まっています
ナナカマドの赤が綺麗です。


 まずはヒメオオのルッキング採集から。
 朝一番の採集ということで、昨日夕方位から柳に付いている個体を狙ってみます。
 しかしながら6/27にヒメオオの姿を確認した柳を含めて、ルッキングを継続するものの「黒い塊」は無し…。
 やがて、路上に動く「黒い染み」を発見!
 39mmのヒメオオ♂でした。この時期に路上歩行個体を採集したのは初めてです!
 でも何か動きがおかしい。
 よく観察すると、左前肢がありませんでした。顎の先端もかなり磨り減っていて、昨年からの越冬成虫のようです。
 前肢1本が無くても、柳に付くことが出来るのでしょうか?



 結局、採集出来たヒメオオはこの♂1頭だけでした…。
 でも希少と言われる群馬産ヒメをまた採集出来て大満足!
 持ち帰って、大事に飼育することにしました。


 時計はまだ9:00過ぎ。
 続いては、このポイントでまだ採集したことのないルリ属の採集にチャレンジです。
 ところがこのポイントは急勾配であるだけでなく、ササがかなり茂っていて簡単には突入できません。
 途中、ようやく見付けた枯れ沢に入ってみるものの直ぐに岩の壁。
 少しある材を見ても、(・)マークを確認することは出来ませんでした。
 ここでは新芽採集が有力なのか?
 でも、数年前は6月中旬まで通行止めで、新芽採集の絶好期にポイントに近付くことが出来なかったことを思い出しました。

 彷徨うこと1時間?
 ようやく比較的平坦な北側斜面を見付け、今日はこのポイントに賭けてみることにしました。


 比較的ササの少ないブナの大木の下を見ていると…。
 
あった!
 (・)マークです!

 誰かが以前削ったか?、それとも自然に割れたのか? 材の破断面にも(・)があります。
 もしかしたら最近付いたマーク?
 観察してみると、少し古いマークのようです。
 残念ながら、夢の「秋型コルリ」のものではないようです。
 結局、材からは何も出ませんでした。 


  周辺でも(・)マークを確認しましたが、幼虫の姿はなし…。
 もしかしたら卵でもと思いましたが、慎重に見てもやはり確認は出来ませんでした。


 その後、地面に7割程度が埋まった(・)も確認出来ない材に一撃を加えてみると…。


 自分でも信じられませんでしたが、コルリ♂が出てきました!!。


 腹部がまだ白っぽい!
 何度も自宅羽化個体で見てきた
羽化直後のコルリ♂でした!!!。


 色調は、福島産原名コルリより少し緑っぽい青という感じでした。
 これで群馬産コルリは3産地目ということになります。

 恐らく9月上旬に羽化した個体と思われます。
 羽化直後のルリ属成虫を9月中旬に採集出来て、大満足することが出来ました。
 夢の「秋型のルリ属」を確認するためには、今後7〜8月の材割りもしなくてはという気持ちになりました。



 この材は地中に埋もれていましたが、掘り出していると、2頭のコルリ幼虫に続いて、もう1頭の♂成虫が出てきました!
 でも様子がおかしい…。
 よく見ると腹部が出ています。
 一瞬、羽化中の個体かと思いましたが、上翅からはみ出した腹部は固まっており、羽化不全の個体だと分かりました。ちゃんと生きていましたが…。
 野外で、ルリ属の羽化不全の個体を採集したのは初めてです。
 色は福島や新潟等で採れる標準的な青色という感じでしたが、撮影後、落としてしまい行方不明になってしまいました…。


羽化不全のコルリ♂(生きています!)


 その後も幾つかの(・)マークを確認できたものの、2令幼虫1頭を潰してしまった他、コルリの成果はありませんでした。
 地中に埋もれたコルリ材のこの時期の探索はかなり辛いものがあると思いました。
 なお、群馬県のこの地では、直径20cm程度のやや太い材にもコルリの(・)が付いていました。


 その後は、典型的な赤枯れ材から、自身初めての原名ツヤハダの♀(この個体も羽化直後で、腹部が上翅からはみ出していました)と2頭のツヤハダ幼虫を採集することが出来ました。


コルリ、ツヤハダを採集したブナの森


 他にも、こんな立ち枯れに…

  こんなマークが付いていたのですが、成果は無し…。

 少なくとも、周辺に原名ルリも生息していることを確認出来ました。

 
 奥に進もうとしたら、これまで見てきた獣達とは少し様子の違う、大きな大きな糞を発見してしまい、Uターンすることにしました。(画像無し)
 よく見れば、掘り返したような痕も各所に…。
 ここは、群馬でも有数の熊の多産地…。
 熊避けの鈴を付けてはいましたが、大きな糞を目の当たりにすると勇気が沸きません…。

 何で、ルリ属とヒメオオの産地がそのままツキノワグマの領分に一致するのでしょうか?
 領分にお邪魔している以上、こちらから遭遇しないように音を発する等の対策が必須ということは分かっていますが、週に1回は目にする(耳にする)熊に関する事件の話を思い出すと、最後の勇気が沸きません。

 今後の単独での高山種採集の最大の問題は「熊対策」ということになりそうです。

 
 柳に付くヒメオオの「黒い塊」を目にすることは出来ませんでしたが、大満足な一日となりました(自宅には15:00前に帰宅)。
 次からは、ルリ属狙いの採集中心にしようかと思います。
 

 (本日の成果)
  ヒメオオ:1♂(路上歩行個体)
  原名コルリ:2♂(内1頭は羽化不全)+2幼虫(3令)
  原名ツヤハダ:1♀+2幼虫(3令)

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