ニセコルリクワガタのグループ
1987年、奥田氏と藤田氏がコルリクワガタによく似ているものの、明瞭に区別出来る別種が居ることを確認し、徳島県剣山を基産地として、新種ニセコルリクワガタを記載した1)。
2007年、井村氏によって従来1種とされてきたニセコルリクワガタは、シコクルリクワガタ、キイルリクワガタ、キュウシュウルリクワガタの3種に分類されることが提唱された。2)
1.ニセコルリクワガタ(シコクルリクワガタ)
学名:Platycerus sugitai Okuda et Fujita,1987
分布:四国
ニセコルリクワガタ
基産地は徳島県剣山。
2.キイニセコルリクワガタ(キイルリクワガタ)
学名:Platycerus akitaorum Imura,2007
分布:紀伊半島
キイニセコルリクワガタ
3.キュウシュウニセコルリクワガタ(キュウシュウルリクワガタ)
学名:Platycerus urushiyamai Imura,2007
分布:九州
キュウシュウニセコルリクワガタ
4. ニセコルリ、キイニセコルリ、キュウシュウニセコルリの形態
外観は、コルリクワガタのグループに似ているが、
a) ♂の前胸背板が前方に突き出る。
b) ♂、♀共に光沢がコルリクワガタより強い。
c) ♀の前胸背板は中央部が最も広くなる。
d) 交接器の形状が異なる。
などの違いがある。
コルリクワガタ♂ ニセコルリクワガタ♂
5.垂直分布
コルリクワガタの仲間とは標高で住み分けを行っており、コルリクワガタの仲間が低標高の場所、ニセコルリクワガタ、キイニセコルリクワガタ、キュウシュウニセコルリクワガタが高標高の場所に生息している。
その境界付近では、混棲しているポイントもある。
また、四国と九州ではコルリクワガタの仲間よりニセコルリクワガタとキュウシュウニセコルリクワガタがそれぞれ優勢的に生息しており、標高1000m以下で生息している場所もある。
6.生態
5月〜6月に発生。
限られはするが、新芽に集まるポイントも幾つか知られている。
産卵はコルリクワガタの仲間が好むような湿度のある落ち枝や埋没材を好み、接地面に(・)マークを刻む。
キイニセコルリクワガタ(画像ご提供:ピイさん)
新芽が完全に開ききった頃、コルリクワガタの仲間と同様に落ち枝の裏側に付く姿も見られるとのこと。
キイニセコルリクワガタ(画像ご提供:koruriさん)
1)奥田則雄, 藤田宏, 高桑正敏, 1987. 月間むし (192) 3-11
2)Y. Imura, 2007. Elytra 35(2) 471-489